紗綾の会でもアグリだそうです

 さ、アグリ・アバリ問題ですよ。用語集にも書いた通り、漁師さんが使う網の補修用の道具と同じ形状をしているので、本来は「網針」ということだと思うのですが、なぜか鹿島錦とその直系――鹿島で学んだ人から伝わったという意――の佐賀錦グループでは「アグリ」と呼称するのですよね。もちろん鹿島錦保存会の末端会員である私もアグリ派。東京でも、大正時代は「アグリ」と称していたようなので、いつからアバリになったのか、興味深々。

 先日図書館から借りてきた、現紗綾の会代表の井手美弥子さんの御本を拝読していて、御母堂の久美子さん、どんな図案で織っても、幅が縮むことも、模様がいびつになることもなく、正確無比だったというようなことが記してあって、これはもう自分で織っている人でなければわからないと思うのですけど、すごい技術だと感嘆しきり。経験の絶対量が違うということでしょうね。

 他にも、鹿島錦で3-1と言われる図案に「浮き綾」という名称があることを、初めて知りました。鹿島錦では基本的に3-1は織らない――とまでは書きませんが、織ると先生方から「鹿島錦の基本は糸下三目……」と言いようもなく切なそうな顔をされるので、時々しか織らないことにしています。

 鹿島錦保存会の方は、学術的なアプローチはあまりされていないというか、そもそもが鹿島発祥説ありきで立脚した会なので、する必要性を感じないというスタンスなのかな。とにかく伝統的な図案とか、伝統的な織り方(ただし台は巻台)を後世に伝えるというのが第一義の目的なので、井手さんの研究成果は個人的にも貴重だと思いますし、何より勉強になります。国立国会図書館に収蔵されている大英博覧会の入賞者名簿をどれだけ見ても「佐賀錦」の該当者が見当たらなかった謎も解けました。

 織り自体の印象としては、やはり鹿島錦の方が、よくも悪くもプリミティブ。大先生、変わり経紙もお嫌いなんですよね。一度レインボーを織ってみたいんですけど、嫌がられそうなので自粛中。