揚羽蝶

 鹿島錦を世に知らしめるためなら「縄文時代から続いています」と言い張ってみるくらいの戦略性が必要かもしれないと、総身が危険思想にむしばまれそうになったので、先日図書館から借りて放置していた本を紐解いてみた次第。縄文時代はさすがに盛りすぎか。まだ大先生がヨチヨチ歩きの頃ですから。嘘。

 ちなみに読んでいるのは泡坂妻夫の揚羽蝶。初めて読んだ氏の作品はヨギガンジー。袋とじになった部分をそのままにして読めば短編、鋏で開いて読めば長編という、印刷屋さん泣かせの造本に衝撃を受けたことを覚えています。私がまだ十代だった頃ですよ。そんな時代もありました。その後、亜愛一郎のシリーズを集めたりしたっけ。幼いころより寄席に相当行かれたとかで、落語の本を書かれたりもしていますね。昨年読んでみましたが、元が推理作家だけにすぐ死人が出ておりました。ちなみに沙綾型のパターンの製図法もその本で紹介されていたりして。

 泡坂氏は多芸多才な人らしく、作家であり、奇術・手品師であり、さらには代々続いた上絵紋章師でもあります。いわゆる紋付を作る際の、家紋を染める職人さん。揚羽蝶に収録されている複数の短編でもその知識や経験則が活かされていて、そういう点では非常に興味深いのですが、内容はさらっとした人情噺風現代小説。がっつり職人小説を期待していたせいで、若干肩透かしをくらった気も。短くて読みやすいので、病院の待ち時間に読めばよかった。

※今織っている自分の図案、とりあえずマグボトルに入れてみたいので、必要な長さが確保できるまで織ることにしました。