鹿島錦保存会について

※鹿島錦保存会の本部・窓口は、祐徳稲荷神社の祐徳博物館になっております。

 今では「佐賀錦」という通称の方が有名ですが、本来の名称は、鹿島陣屋(鹿島城)で生まれたことに由来する「鹿島錦」。

 発祥地には小城説や京都説など、いくつかあるようですが、最も有力とされるのが、鹿島鍋島家の九代(佐賀藩による数え方では七代)藩主夫人柏岡の方が、病床で見た天井の網代編みに感銘を受け、そば仕えの並木多仲に相談し、観世縒り(かんぜより=和紙のこより)を使って印籠を作らせたところ、非常に赴き深いものが仕上がったというもの。

【鹿島錦の特徴】

  1. 金属箔を貼る、金属を蒸着させる、漆加工を施すなどをした和紙を材料に用いる。本来は引箔と呼ばれる西陣織の材料の一つだが、鹿島錦・佐賀錦では、上下を残したままの状態で裁断したシート状の物を経紙(けいし・たてがみ)とする。通常用いるのは一寸を40分割した規格である「40割」。織り手の好みや心身の状況、作品を仕立てる上での必要性に応じて、30割~50割の間で用いることが多い。西陣織では同じ素材を緯に用いるためさらに細かく裁断する。「120切」などと表現される。
  2. 織物には絣(かすり)や紬(つむぎ)などの先染めと、友禅や江戸小紋など後染めの二種があるが、鹿島錦の場合は先染めになる。ただし、絣のように計算しつくして染めたものを平織りにするのではなく、一段に数色入れることで色を変え模様を出していく。鹿島錦は緯錦(よこにしき)の一種とされ、一段に複数の糸を通すことが特徴。単色で織る場合も便宜的に「錦」という表現がされる。綾織が基本だが、平織りで作品を仕立てることもなくはない。東京の佐賀錦ではゴブラン織りの影響を受けたと思しき模様織が多用される。
  3. 緯糸(よこいと)は「三子撚り」と言われる三本撚りの絹糸。鹿島錦(佐賀錦)用糸には太・中・細の三種類あるが、たいていは細と中を用いる。
  4. 製品は洗濯不可。汚れないように慎重に。経紙の素材によっては防虫剤の成分と反応して変色することも。

 鍋島家の関係者が中心になり伝えられてきたことから、そもそもの織り手の数が少なく、明治初期に技術が断絶しかけますが、大隈重信夫妻の助力で再興され、明治43年の日英博覧会にも出品、「日本手芸の極致」と、現地で大絶賛を受けます。その際に、知名度を考慮して、「鹿島錦」ではなく「佐賀錦」の名称が用いられ、鹿島を源流とする二つの錦、鹿島錦と佐賀錦が別れることとなりました(この経緯に関しても諸説あります。佐賀大学の石井先生や紗綾の会代表の井手先生によると、東京の袋物屋がブランド化戦略として名称変更を進言したという説が有力とのこと)。1968年設立――当初は指導者を育成するための「鹿島錦教室」だったため、1967年説もあり――の鹿島錦保存会は、鹿島錦の伝統を守りつつ、新たな作品の制作を行いながら普及を目指し、さらには知識や技術を次世代へとつなぐための織り手を育成するために活動しています。

 鹿島錦保存会初心者教室は、通常であれば、毎週木曜の午前9時30分から午後4時までの開催となっています。無条件に推奨は出来ませんが遅く来たり早く帰ったりと、フレキシブルな参加も可能です。夕食の準備等のため、だいたい3時過ぎには先生はじめ皆さん帰宅されます。

註・現在新型コロナウイルス感染拡大対策の一環として、隔週午前中のみの開催となっています。ブログトップに開催予定を記した記事を固定しておきますので、そちらをご参照ください。

 午前午後通しで参加する場合は、弁当持参。お茶は出ます。第五週目は休み。また、文化祭などのイベントの時も休み。場所は鹿島市エイブルの3F、エレベーター降りてすぐの部屋です。祝祭日の翌日は、エイブル自体が閉館のため、教室も休みとのことです。

 鹿島錦保存会に入会するための条件は特にありません。居住地域も不問です。遠くは東京の方も会員になられています。

  1. 入会金……1,000円
  2. 会費……一ヵ月あたり500円
  3. 道具……一年間は貸与。実際は一年以上経過しても「返せー」と催促されることはありません。諸事情で錦を辞められた方から道具を買い取るか、自分で調達するまでの間は、借りたままでも可ですが、その場合「きちんと続ける」ことが最低条件です。四つの課題がある基礎織の段階では材料費まで含めて無料。

 入会希望の方は、まず祐徳博物館に連絡をお願いします。代表電話番号になっていて、最初に祐徳神社の方が出られますので、博物館の方につないでもらってください。もっとも、教室が開催されているエイブル自体は公立の建物で、一階が図書館になっていますので、思いついたときにいらして見学等されても、態度が居丈高でない限りは、大丈夫ではないかと思います。

問合せ 0954-62-2151 (祐徳博物館内)


課題に関して

その時々によって変化があるようですが、私の場合

  1. 基礎織①――3mmの紙(10割)を経緯に使った平織り、流水、平織り交じりの流水、網代の練習。流水は佐賀錦では「鋸刃」と言われることもあります。
  2. 基礎織②――使用する材料は同上。外縁部に違いがある二種類の桝と別パターン網代を練習します。
  3. 基礎織③――35割・初心者用金(ソフト金)を経紙にして、好きな色の中糸で、紙で練習した模様を織ります。一枚目なので苦労の連続です。糸掛けなどもこの時教わります。それぞれ7cmずつ模様を織り終えたら、好きな模様を織れます。
  4. 基礎織④――同上。ただし模様は自由。単色ではなく複数の色を使って色替えの勉強をします。これを終えると、会からお祝いとして新紛金の経紙を、拍手ととともに半反いただきます。鹿島錦の織り手人生のスタートです。

補足

 鹿島錦保存会設立五十周年記念作品。現在は鹿島市と祐徳稲荷神社に寄贈してあります。制作当時在籍していた会員が織り上げた錦を、網代風にレイアウトしています。

 最新版のパンフレット。汚れた感じに見えるのは、いささかくたびれたスキャナのせいです。

【関連動画】

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※2023/1/4 AM1:03に、当ブログで美魔女および大先生として紹介してきた樋口ヨシノ先生が帰幽されました。享年106歳と3ヵ月強。鹿島錦を愛し、鹿島錦に生きた方でした。