平織りを使いきる

 祖母達から聞いたかっくんくちゃんの逸話を思い出しつつ、三味線の弦を一本にしてみました。実は押し入れの中で祖母か大叔母のどちらかがはるか昔に使っていた三味線が埃をかぶっておりまして、捨てるのも忍びないし、さてどうしようと思案していて、錦を貼って一本三味線にすれば遊べるのでは? と思い立ちました。例によって例のごとくアイデア先行で最終的には八割失敗二割成功といった具合。

 最初は錦を貼ったシンプルな一弦の楽器が欲しくて、モノコードのキットを買うか、カンカラ三線を作ってそれを一弦にするか、あるいはビニールパイプを加工して弦を張るかと思案していましたが、ホームセンターで材料をあさっていて、ああでもないこうでもないと考えすぎて疲れ果て、「ええいもう家の三味線を加工してしまえ」と勢いで決行。多分そんないい三味線ではないので邦楽ポリスからも怒られはすまい。

 こちらが我が家の押し入れの中でジュラ紀から眠りづけていたお三味様。

 表は糊などが変色した程度ですが、裏は破れまくり。それにしても手作りの袋がレトロ。

 胴掛けはこんな感じ。画像の上下が逆だったので反転させています。

 外してみたらまさかの一円三十銭。もともとは伊勢町の田畑さんという方の物だそうな。どなたかは存じ上げないながら。

 弦も傷んでいたため、とりあえずホームセンターで調達したこれで代用。絹だしパステルレインボーに染まるかなあと思って買ってみましたが、かなりしっかりと撚られているみたいで硬い。墨なら染まるんでしょう。

 敗れた部分の補修や、破れそうなところの補強に使えるかと思って買ってみました。最初110番のことを型番だと勘違いしてしまった。全部110番? 他にはないの? としばし思って、ああ、SOSという意味かと、一人赤面。一応表の補強には使えました。音が多分変わったと思いますが、それ以前の問題が山積みなので気にしない。桜柄になり気に入っております。

 本体を分解して――弦を取っ払ったら勝手に外れて落ちてびびった――とりあえず破れた部分を補修して平織りを貼ってみました。我ながら仕上がりが汚くなりました。裂け目を隠すために何か下処理をしてからの方がよかったかもしれない。難敵すぎる。メッシュワーク用に取っておいた平織りをまるごと使ったのに(´・ω・`)

 本当は両面貼り替えた方がいいんでしょうけど、破れたところから内部を見ても、綾杉彫りとかはされていなかったんですよ。多分そんないい楽器ではない。手書きで大正4年とか書いてあったので、少なくとも100年以上前の物か。昭和41年に大叔母が張替えたというようなことが書いてありましたので、多分その時にいろいろ補修してもらったのだと思います。

 バチはなかったので、指で弾いてみましたが、普通に演奏出来ました。ただ、生で三味線の音を聴いたことがないため、どの程度音に影響があるのかは不明。しばらくこれで遊んで、きちんと練習したくなったら、ブロに貼り替えてもらうということで。一弦しかないため、簡単な曲のメロディだけなら悩まず弾けます。音程に関しては――開放弦で何に合わせればいいのやら。

 今のところ一人で遊ぶには充分かな。でも出来ればハープっぽい音が出る弦がいいよう。

※音に影響を与えず錦を貼るなら、オーソドックスに胴掛けか、あるいは竿の部分とか。