夏がくれば思い出す

 よく考えたら夏の話じゃなかったことに後から気づいて、書き出しから恐怖のズンドコ。

 もう七年くらい前になるのでしょうか、一時期腎機能が劇的に悪化したことがありまして、主治医から「ウォーキングはいいけど、汗をかきすぎないように早歩きしないのと、日傘をさすように」と釘を刺されたことがあります。素直なことこの上ないKING OF 素直の私は、その指示に従って、JR九州ウォーキングに参加する時に日傘を持っていくようにしたんですが、あれはそう忘れもしない波佐見編。波佐見のウォーキングの場合、町ぐるみで取り組まれているらしく、初々しい野球部の一年生だったり町の人たちが要所要所で挨拶をしたり案内をしてくださいます。いつだったかはおそろいの法被で受付も担当されていて、その受付の一人が私にとって不倶戴天の敵である妖怪軽口一族だったようで、私の手にしている日傘を一瞥して「お肌は大切ですもんねえ( *´艸`)」とバカにしたようにほざきやがったんですよ。

 日 傘 さ し て ん の は 持 病 の せ い だ よ 。

 逆鱗だから、そこ。お前はテントの下で受付してるだけじゃろがい。こっちはこれからまだまだ強い日差しの下を歩くんだよ。四の五のぬかすな――と、その日は一日ご立腹。何もかも厭になって、受付直後に日傘をしまいました。汗かいたわ、おかげで。

 相手の生活背景やその時々の心情を一切考慮しないで、その場限りの軽口をたたけばそれでコミュニケーションが成立すると考えていると思しき、妖怪軽口一族っていったいなんなん? 私が関わった軽口一族は、ただ一人の例外もなく、自分の発言に責任を持たない人間ばかりでしたよ。なんでもかんでも冗談だからで言い逃れできると思うべからず。そもそも知り合いでもないというに。

 波佐見に行くたびにこの件を思い出すんだわ。日傘ということで夏のイメージが刷り込まれてしまっていましたが、鬼木の棚田を歩くから秋の話だったんだわ。秋の紫外線もゆるがせには出来ないのはやまやまながら。

※今の私なら多分持ち手のところでビシバシ叩くか、ペットボトル投げつける。実はその時周りにいた他の受付担当のおばちゃんは「余計なことを……」とあきれ顔だったので、多分一回目の反撃に限れば止めはしないでしょう。

※鹿島錦保存会もたまにお客様をお招きして体験会などやるので、浅慮な発言には気を付けねばですね。

※周りより明らかに身長が低い人が日傘をさすと、急に動いた時など、露先で周りの人の目をぶっさす恐れがあるので、くれぐれもご注意を。実際に聴覚障碍者の私の知り合いが被害に遭ったらしい。