辻村寿三郎と杉井ギサブローを混同してはなりませぬと、子どもの頃の自分に訴えたくてたまらないこの私が、ようやく観ましたよ、グスコーブドリの伝記。原作を読んだのははるか昔。ペンネンネンネン・ネネムの伝記も同じ本に収録されていたなあと懐かしく思いつつ。
自己犠牲描写に関して昔から賛否両論がある作品ですけれど、映画版はそのあたりは巧く誤魔化されていたので気になりませんでした。ちなみに私はブドリの自己犠牲肯定派です。作中のブドリの自己犠牲を肯定することで、間接的に現実世界の自己犠牲を否定する派と書いた方が正しいかな。最後は生き残ったもん勝ちなんだわ、世の中。
謎の力を持つ風の又三郎的な人物が出てきたり、銀河ステーションの描写で「銀河鉄道の夜」の登場人物が出てきたり、情報過多な部分が多く、そのせいで疲れて一日で観終えられなくて、二日に分けて視聴した次第。悲しくもそうせざるを得ないお年頃なんだわ。
すでに原作を読んであらましがわかっていたことも影響したのか、とにかく、主演の小栗旬が気になる。「声の演技」という点に関しては、表現が浅いんですよ。手の施しようがないほど下手ならその時点であきらめがつくんですが、決してそうではないので逆にイライラする。くわえて主人公の顔や毛の色が銀河鉄道の夜の時のジョヴァンニと同じせいで、なんで声が田中真弓じゃないのか理解が追い付かない。小松亮太の演奏は良かったよ。蛇足ながら正蔵師匠はタッチの時の印象が強すぎる。
銀河鉄道の夜に続く猫アニメにするなら、グスコーブドリよりもメジャーな風の又三郎にすべきではと思うのですが、いかがか。え、いかがなものか。
※推すならこっち。例によって例のごとく、検索をすれば著作権をガン無視した動画が見つかります。原作はもう保護期間を過ぎていますが、映画はまた別だからね。