「錦を織るとね、その前にどんな嫌な思いをしていても、それがすーっと消えていくの」ともおっしゃったのですよ、大先生。「夕方から織り始めて、気づけば朝。家族から世話された(方言で心配の意)」「いつ織り終えてもいいように、同時に五台くらい経紙を立てているの」など、ヨシノ節の数々を心に刻みながら、私も前に進みます。昨日はお通夜の後で、今までになくまとめて織りました。肩の調子がよくなればもっとたくさん織れるのにと思いつつ。
樋口先生が亡くなられても、まだ鹿島錦保存会内には(勝手に作った)落語部があるので、そちらの方も頑張らないと。
そういうわけでメッシュワークのプランの続き。上品に仕上げるなら出来るだけ芯材は薄い方がいい。でもそうすると強度の面で不安があるということで、さてどうしようと思案して、以前観た近江一関張の動画ことを思い出しました。
そこからハイテンションな一関張の作り方に飛んで――
今はこういう天真爛漫な方の動画ばかりを観ていたい。
もしかしたらこの技法を流用すれば、史上最高強度の鹿島錦のバッグが仕立てられるかもしれません。武器にも出来るくらいの。誰と戦うかは不明ながら。一関張の場合は、貼り重ねた和紙を通して表現される竹籠などの目の風合いを楽しむという側面もあるようですが、鹿島錦で作る時はそんな凹凸は邪魔にしかならないはずなので、化粧土のように何かで加工したほうがいいのかも。その上に和紙を重ね貼りして、さらに錦のメッシュ。
土台に関しては、大分で勉強できるとはいえ、さすがに今から竹工芸を基礎から学ぶのは無理があるので、近江一関張のように、エコクラフトなどを使ったペーパーワークで。いっそあんでるせん手芸でもいいかもしれない。そういえば、大先生と同い年で性格もそっくりだった大叔母は、若い頃は竹籠を作る職人だったので、すごく綺麗に作っていたんですよね、エコクラフトのバッグ。手芸作品を作る傍ら、晩年まで作業にいそしんでいましたが、他人様に差し上げることが多くて、うちには残っていません。口惜しや。
鹿島錦でバッグを作るとなると、貼り込みやカルトナージュがまず思い浮かびますが、意外にいいかもしれない、なんちゃって一関張とメッシュワークの組み合わせ。本体は平織りのメッシュワークで、蓋――というか、被せというか――は綾織を貼って。小さい物だと多分カルトナージュの方が綺麗だし早いので、いろいろと使い分けるのが理想。
週末は久しぶりに白い陶芸紙で鶴を作ります。焼き上げまで済んだら、以前佐賀新聞社に確認して使用許可をもらった大先生の写真を片翼にデコパージュ。もう片方の翼には伝統図案の鹿島錦を貼って、オブジェを制作予定。春の作品展に出そう。