うんとこどっこいしょと自分を鼓舞せざるを得ないくらいには、鹿島の方が気温が高い印象。どんだけ暑いのん鹿島市内( ゚Д゚) 久しぶりに真昼間に駅前を歩いてドン引きした。市営駐車場にちょっと停めただけで車内は地獄。太良――というか、うちの周りは水田が多いからかなあ、さすがに真夏なので暑いのは暑いんですが、いくらか涼しゅうございます。まあ、あつはなついなーということで。
そんなことより毎度恒例不幸のズンドコですよ。ズンドコ祭りですよ。まあ正しくは不注意が成層圏を越えて行ってらっしゃい宇宙まで案件なんですけれど、今日出かける時にあろうことか財布を忘れちまってよう。忘れつちまった悲しみは例えば狐のかわごろもってもんでよう。幸いカード入れの中で燦然と輝いていたクレカと、普段はお隠れ遊ばしているピンチ諭吉さんのおかげて事なきを得ましたが、鹿島錦を貼った消毒ボトルと一緒に、昨日の通院バッグの中に放り込んだままだったんだわ。ちっ。
そんなこんなで猛暑を乗り越え用事を済ませて帰宅して、郵便受けを覗いたら、おー、注文していた古書の「週間人間国宝 55号」が届いておりました。染織特集号で、唐組の深見重助、精好先代平の甲田栄佑、甲田綵郎(よしお)、献上博多織の小川善三郎、小川規三郎、そうして佐賀錦の古賀フミというラインナップ。唐組は以前kindle内にunlimited対象の本があって読んだのですが、「なんじゃこれは」と圧倒されるほどの複雑な組紐。もちろん平安時代の貴族様御用達。伊勢神宮の祭祀でも使われる由緒正しい物とのこと。果たして後継者はいるんだろうか。
仙台平の袴は落語にも出てきます。川端康成も愛用していたとか。名前だけは知っていましたけど、細かい説明を読むのは今回が初めて。経緯ともに撚らない糸を使うことで、緻密に打ち込んでも柔らかな仕上がりになるそうな。
博多織はお隣の福岡県の工芸品ですから他の品より親しみがあります。私自身、幼い頃のおくんちや七五三の時などに博多織の角帯をきつく締められて、「ぐはぁ」となったりしていました。着付けをしてくれた祖母は容赦を知らない女。落語家さんで博多織以外の帯を締めている人をあいにく見たことがないというくらい「これ締めて当然」なブランド。まあ、こと私に限れば、自分で織った鹿島錦の帯が締めたいので、新しく博多織の帯を買う気はなし。
もちろんこの号だけを特に探して購入したのは、佐賀錦で人間国宝となった古賀フミを取材しているからですよ。先日読んだ古賀フミ作品集では触れられていませんでしたが、この本ではきちんと鹿島発祥という紹介がしてあって安堵。あぐりも「あぐり」表記で紹介してありました。ちなみに鍋島家中では、伝統模様200種を順番に織ることで織り方を学んでいたそうで、多分祐徳徳物館の収蔵品のような感じで織られていたのではないかな。名前だけは存じ上げている井上佐賀錦教室の紹介ページもありました。般若心経を一文字一文字丁寧に織り込んだ佐賀錦があるという話を以前聴いたことがありましたが、井上佐賀錦の方だったんですね。亡くなられたご子息のために織られたのだとか。敬服。
今日現在未着の「匠の集い」が届いたら、古賀フミ作品集、人間国宝55号と合わせて、資料室の方に簡単なレビューを追加する予定。
※うっかり鹿島錦教室のある22日に予定を入れてしまいました。前回帰る間際に「次回は8月にお邪魔します」とか言いましたけど、行けませんごめんなさい。平に。9月……9月は絶対……。