カオス

 かつて易聖と呼ばれた高島嘉右衛門が現行の高島易断とは一切関係がないというのは、斯界では有名な話。そもそも嘉右衛門が弟子と認めたのは小玉呑象一人と言われています。上坂冬子著 男装の麗人・川島芳子伝の中に小玉呑象の名があったり、似て非なる「児玉」呑象を名乗る人物とその門弟が北大路魯山人の元を訪れていたり(案の定「小玉」と間違えて高島の門弟と誤認)と、調べれば調べる程混沌として実に楽しい。嗚呼楽しい。

 巨人大隈公という本によると、小玉呑象が大隈重信のところへ年賀に訪れた時、「口、拳を容るゝ者は位宰相に達す」という人相学の話になって、大隈翁が自分の拳を口の中に入れてみせたという話もツボ。何しとん。拳を口の中に入れられたのは、日本では豊臣秀吉以来だそうですが、この部分は著者の私見かも。多分探せばそこそこいる。