伊勢型紙の職人さんが言うことにゃ

 はー言うことにゃ。

 佐賀錦振興協議会――多分鹿島錦保存会も――は、継承者育成の対象を20代から30代に限定すべきだそうですよ。とあるハイブリッド職人(って何)が2017年に呟いておりました。

 実情を知りもしないでそんなこと気軽に呟かれてもよう( ゚Д゚) 反論するためだけにtwitterに再登録しようかと思ったけど、なんぼなんでも五年以上前の投稿だし、面倒になってやめた。

 佐賀錦にも鹿島錦にも詳しくない人にありがちであろう勘違いをここで正しておきますが、私たちが発する「継承者募集」が意味するのは、「跡を継いでくれる職人志望者」ではないからね? 佐賀錦と、その源流である鹿島錦は、だいたいが生活のために働く必要の一切なかったやんごとなき身分の方の手慰み。ある時期から技術のある人が内職にするなどの特殊なケースは存在したけれど、本職に出来るような流通経路の成立はしていない。経済産業省から伝統工芸として指定を受けていないのもそのあたりの事情があるから。したがって、そこに職人募集という意識はない。費用対効果の面でアレすぎるせいで、佐賀錦や鹿島錦をちまちまちまちまちま織る行為が職業として成立するなんて絶対にありえない。競争原理からどんどん過激さを増している地下アイドルの撮影会みたいに、何かしらの付加価値を設けてストラップ一個を五千円くらいで大量に売りさばきでもしない限り無理。

「他の多くの織り物と違ってこれ単体で生活費を稼ぐことは出来ないけれど、この上もなく気品あるハイソな布を織る喜びはふんだんに味わえるよ」という意味での募集なので、とどのつまり高齢者でもいいわけですよ。むしろある程度年齢を重ねた人の方が長続きするケースが圧倒的に多いのは、関係者にとって周知の事実。言い換えれば「織りたいという気持ちがあれば年齢は不問」ということ。それに今の時代、年齢差別って言われかねないわけよ。若者限定にすると。

 ぷんすかぷんすか。

※ぷんすかしたまま勢いでテディ・ベアのボディを二つ注文してしまった。セールのたびに数個ずつ調達する予定。